朝起きてご飯を食べて働いて、休憩をしてまた働いて、そして寝る。
極々一般の日常生活。
しかし『彼ら』の日常はこんな物ではない。
そりゃあもう、半端ない。
コヨーテ一派の日常
目覚ましなど必要ない。時間になれば目が覚めるし、逆にあの大きな甲高い音は耳障りで仕方がない。
だから、『彼ら』に目覚ましなど必要ない。
−−−ある一人を除いては・・・・・・。
いや、一匹か?
「−−−遅いですね」
微かに不機嫌を漂わせながら、茶色い毛並みの獣が言った。
背中に十字を刻んだ刀を背負い、左頬に三本の引っ掻き傷のような蒼い模様がある獣・・・・・・・・・。
ヘヴンリィ国のフェルトイン分国軍情報管理部の長、コヨーテである。
ちなみに、偽名。
本名知ってしまったらもれなくあの世行きの切符がついてきたりする。
・・・・・・・・それはさて置き
「本当に遅いですね、もう2分も過ぎてます」
コヨーテの言葉に同意し、うんうんと頷く獣が一匹。
部下その1、リカオンである。
ちなみに、偽名。
本名を知ってしまったら・・・・・・・・・以下同文。
「あっ3分になった。これはもう大遅刻決定ですね、ジャッカルさん」
「・・・・・・大、か」
リカオンが室内にかけられている時計を見ながら呆れたように言う。
そんな彼にぼそりとツッコミを入れたのは部下その2、クルペオ。
彼は忘れられる運命にあると言って過言ではないので本作ではもう出てこないであろう。(死んだ魚目のかの主人公と同じポジションのようだ)
「・・・・・・・・・さて」
リカオンの言葉に、コヨーテは珍しく開かれた橙黄色(とうこうしょく)の眸を鋭く光らせた。
「物影に隠れた所で私にはお見通しですよ、ジャッカル」
閉じられた扉が風も吹いていないのに、ガタリと大きく揺れる。
ギィと木の軋む音と共に、微かに開いた扉の隙間から鮮やかな碧の眸が覗いた。
「・・・・・・バレバレ?」
「当然」
「・・・・・・・・・・・・」
間髪入れぬコヨーテの返答に、ジャッカルは扉を勢いよく開きズカズカと室内へ足を踏み入れた。
扉の向こう側に隠れていたのが嘘のように
何の躊躇もなく。
「−−−だってよ」
これは
「目覚まし時計が壊れてたんだ!!」
一種の開き直りである。
「知りませんよそんな事。ねぇコヨーテさん」
リカオンがジャッカルの開き直り及び言い訳を、素晴らしい早さで蹴倒した。
そりゃあもう、語尾が掛かる程の早さで。
「ええ、全くです」
そしてコヨーテの容赦ない同意の言葉。
ジャッカル敗北なり。
「テメェッ!!」
半ば涙目になりながらジャッカルがリカオンに向かって吠える。
刹那。
「−−−ジャッカル」
目前にコヨーテ。
ヒッと小さく息を飲むジャッカル。
「今回の任務は時間が勝負だと昨日言っておいた筈だが・・・・・・」
二人の間でしか届かないような小さな声。
−−−しかし
「そんなに俺に殺されたいのか?」
威圧感、最高潮。
しかもこれがコヨーテの素だったりするからもうどうしようもない。
「コヨーテさん、何してるんですか?」
何も知らないリカオンが小首を傾げながら問い掛ける。
「いいえ、何でもないですよ」
関心する程の早さで猫を被るコヨーテを見、ジャッカルは苦く笑った。
(マジで半端ねェ・・・)
「ジャッカル、罰として刀は二ヶ月使用禁止です」
「マジで!?」
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我がオリジ話のサブキャラクター達を主人公に描いていただきました!
因みに龍白さんは熱狂的なコヨーテのファンです(笑)
いつもコヨーテを愛してくださって有り難うございますv
そして、こんな素敵なSSを書いて下さり有り難うございます!!
このSSに勝手にコクガチが挿絵を描いてみたりしました。
(そのうちUPされるかも)